環境変化が激しい中でも「働きがい」を高め続けるためにランキング1位企業が今取り組んでいること(前編)

更新日 2022.04.192022.04.15対談

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働きがいのある会社ランキングの大規模部門・中規模部門・小規模部門1位の3社の代表とGPTWジャパン代表の荒川陽子が、環境変化が激しい中で「働きがいのある会社」はいかにつくられるのかディスカッションをしました。

※本記事は2022年3月10日に開催した【GPTW事例セミナーVol.6】働きがいのある会社」ランキング1位企業が語る事例セミナーのパネルディスカッション抄録です。

<記事のポイント>
✔コロナ禍で働きがいを高める阻害要素となったもの
✔「社員の自律」と「対面コミュニケーション」が働きがいを高めるカギ

コロナ禍で働きがいを高める阻害要素となったもの

荒川 最初のテーマは「コロナ禍のような大きな環境変化の中でも『働きがい』を高め続けるために、重要なことはなんだとお考えになりますか」です。その前にまず聞きたいのですが、コロナ禍で働きがいを阻害する要因にはどのようなものがありましたか。

三村様 リモートワークになって生産性が向上した反面、同じ空気を吸いながら働くことができなくなったことが大きなマイナスでした。オフィスですれ違ったときの偶発的な雑談などで、連帯感が高まったり、新しい連携が始まったりすることがありますが、一切なくなってしまった。それがないとドライに仕事を依頼してこなしていくプロセスになってしまうので、社員間のコミュニケーションを活発化させる工夫をしている最中です。

荒川 続いて石井さんに伺いたいのですが、連帯の強い株式会社あつまるでもコロナ禍で苦労された部分がおありなのではと思うのですが、いかがでしょうか。

石井様 チャットなどのオンラインコミュニケーションツールでは、優先順位の判断を間違えやすくなっていることを感じました。リアルの場合は自然と「これ今日中ですか?」「いや、明日でも大丈夫」という風に話せるのに対して、オンラインだと少ない情報で判断して「今日中にしないといけないのか」みたいに捉える社員が多くいまして。その対応として、対面コミュケーションを増やすのと同時に、私が感じている課題として社内イントラで発信し続けました。

荒川 石井さんの問題意識を継続的に発信することで認識を揃えていたということですね。小出さんはどんな影響を感じられましたか。

小出様 一番インパクトを受けたのは新入社員だったと思います。企業文化を学ぶ上で、タッチポイントを増やすことが大事だと私は思います。それはオフィスであったり、会社が企画するイベントであったり。そういうものが減ってしまったので、会社に対するロイヤリティを感じたり、チームで働いたりする経験を多く積めず、よりインパクトが大きかったのだと考えています。>

弊社はこのコロナ禍で、新卒中途を合わせて4桁の人数の採用をしています。そうなると、たまたま廊下で会った社員が「今日、小出さんに会っちゃった!」とSlackで話題になるくらい、直接顔を合わせる機会が少ないのです。そういう環境下でロイヤリティを高める難しさを感じました。

「社員の自律」と「対面コミュニケーション」が働きがいを高めるカギ

荒川 この状況下で働きがいを高めるためには、どんなことが大事だと思いますか。

三村様 今も試行錯誤している状況ですが、その中でただ一つ心強いのは、会社や私が考えた施策をただ受け入れるのではなく、社員が「働きがいを高めることが自分たちのためになる」ことを理解してくれていることです。

例えば、社内に文化部というチームが発足し、文化醸成につながるさまざまな活動をしています。オンラインの花見の企画や、来月からコンカーラジオ局をスタートさせて有志がラジオDJとしてランチタイムにカジュアルな話題を提供するなど、社員がクリエイティブに「働きがいづくり」を考えていることが、強みになっていると思います。

荒川 コンカーさんが掲げる「高めあう文化の醸成」の一つの成果なのかなと感じました。石井さんはいかがですか。

石井様 たまたまコロナが広がりはじめたタイミングでオフィス移転を行い、従業員が増える見込みで3倍の広さに拡張しました。そのため、従業員数に対して極端にオフィスが広い状態です。密にならずに働くことができるため、徹底的にコロナ対策をした上で、できるだけ出社してくださいというメッセージを伝え続けています。世の中的にはリモートワーク以外は悪、みたいな空気もあり、難しい時期もありましたが言葉を選びながら説明し続けているところですね。

荒川 対面コミュニケーションから生まれるものが非常に大事だということですね。小出さんはいかがですか。

小出様 我々はグローバル企業ですので、世界に拠点があります。今回のパンデミックでわかったことは、各国で状況が大きく異なり、刻々と変化していることです。そのため、トップダウンでは対応が遅れる可能性があります。

今まさに我々がやっているのは、「エリアごと、部門ごとに働き方を決めてください」と委ねることです。社員が自主性を持って、「どう働くかを自分で選択すること」を進めています。

荒川 その会社ならではの「働きがい」とか「働き方」の色合いがさらにはっきりしてきたなっていうのが、私たちがコロナ禍で感じていることです。その中で「自律」がより大きなテーマになっているということですね。

後編へ続く

株式会社セールスフォース・ジャパン 代表取締役会長兼社長 小出伸一 様

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1981年日本アイ・ビー・エム入社。米国本社戦略部門への出向、社長室長、取締役などを務めたのち、2006年、ソフトバンクテレコム(旧:日本テレコム)に入社、副社長兼COOに就任。その後、2007年12月、日本ヒューレットパッカード 代表取締役社長に就任し、2014年4月、株式会社セールスフォース・ドットコム(現 株式会社セールスフォース・ジャパン)の代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)に就任、2016年11月より現職。2018年6月より三菱UFJ銀行の社外取締役、2019年3月より公益財団法人スペシャルオリンピックス日本の理事に就任。

株式会社コンカー 代表取締役社長 三村 真宗 様

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2011年10月より株式会社コンカー代表取締役社長。1993年、慶應義塾大学法学部卒業。同年、日本法人の創業メンバーとしてSAPジャパン株式会社に入社。以後13年間に渡り、ビジネス・インテリジェンス事業本部長、社長室長、CRM 事業本部長、製品マーケティング本部長、戦略製品事業バイスプレジデント等を歴任。2006年、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、金融、通信、ハイテク企業等の戦略プロジェクトに従事し、IT戦略・ITビジョンの策定、ソフトウェア事業のBPR等を担当。2009年、ベタープレイス・ジャパン株式会社 シニア・バイスプレジデント。2011 年10月から現職。

株式会社あつまる 代表取締役社長 石井 陽介 様

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福岡県久留米市出身。2010年株式会社あつまるを設立。集客プラットフォームを軸に、顧客の集客の費用対効果最大化に貢献。DXソリューション事業を展開し、顧客の集客・採用・フィロソフィ策定に貢献している。2016年には稲盛和夫氏が主宰する盛和塾世界大会に最年少で出場。「全従業員の物心両面の幸福を追求するとともに出逢った人たちに無限の可能性を伝え続ける集団である」という企業理念を軸に、リーダーを育成する教育カンパニーとしても展開している。

Great Place to Work® Institute Japan 代表 荒川 陽子

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2003年HRR株式会社(現 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)入社。営業職として中小~大手企業までを幅広く担当。顧客企業が抱える人・組織課題に対するソリューション提案を担う。2012年から管理職として営業組織をマネジメントしつつ、2015年には同社の組織行動研究所を兼務し、女性活躍推進テーマの研究を行う。2020年より現職。

本内容は2022年3月時点の情報です。

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