ウェルビーイングとは?意味と会社経営におけるメリット・取組事例を紹介

更新日 2024.11.262023.06.16コラム

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近年、働き方改革が進むなかで「ウェルビーイング」に対する注目が集まっています。このウェルビーイングという言葉は、聞いたことがあるものの意味はよく分からないという方も多いでしょう。そこで今回は、ウェルビーイングの概念や注目されている背景を整理して解説します。また、会社経営におけるメリットや企業の取組事例も一緒にご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

ウェルビーイングとは

ウェルビーイング(Well-being)とは、幸福で身体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた状態を指す言葉です。Well-beingを直訳すると、「健康」「幸福」となります。基本的な概念は、1946年に世界保健機関(WHO)憲章の前文で以下のように定義されています。

「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にある」

出典:世界保健機関(WHO)憲章の前文:日本WHO協会仮訳

これまで、ウェルビーイングは主に社会福祉の分野で使われていましたが、近年はビジネスシーンでも用いられるようになりました。ウェルビーイングを構成する要素について、より詳しく解説します。

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ウェルビーイングを構成する5つの要素

米ギャラップ社は、大規模な調査によりウェルビーイングは5つの要素から構成されるとしています。以下にそれぞれについて説明します。

Career well-being(キャリア ウェルビーイング)

1日の大半を占める活動(仕事および私生活)について、情熱を持って取り組んでいる状態です。「career(キャリア)」と聞くと、仕事についてイメージされる方も多いかもしれませんが、これにはボランティア活動や勉強・家事・育児といった私生活の活動も含まれます。1日の活動に自分が満足しているかどうか、ワークライフバランスが満足いくものかどうか、といった点が重要なポイントです。

Social well-being(ソーシャル ウェルビーイング)

ここでいうSocialとは、人間関係を指しています。つまり、Social well-beingとは人間関係に満足している状態です。単に、たくさんの交友関係を持てばいいわけではなく、周囲の人たちと信頼や愛情でつながっているかどうかが重要といえるでしょう。

Financial well-being(フィナンシャル ウェルビーイング)

経済的な幸福を指します。生活するためのお金が十分にあり、将来に備えた資金も適切に管理・運用できている状態です。収入を得る手段があるか、収入額に満足しているかなども、経済的な幸福度に関係します。

Physical well-being(フィジカル ウェルビーイング)

身体的な健康を指すもので、生活していく気力や体力が十分にある状態です。ビジネス面でいえば、身体的な健康だけでなく、意欲的に仕事に取り組めるモチベーションが持てている状態かどうかもPhysical well-beingに含まれるでしょう。

Community well-being(コミュニティ ウェルビーイング)

自身を取り巻くコミュニティ(地域社会・家族・趣味仲間など)において幸福な状態です。ビジネス面では、会社・職場・取引先などがコミュニティに相当します。各コミュニティ内でつながっていて、満たされていることが重要です。

談笑する若者たち

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ビジネスの場でウェルビーイングが注目されている背景

現在、ビジネスの場においてウェルビーイングが注目されている背景には、以下の4点が挙げられます。

現代社会におけるライフスタイルの変化

現代社会では、ライフスタイルの変化が顕著です。仕事とプライベートの境界が曖昧になり、24時間つながるデジタル社会において、ストレスや疲労が蓄積されやすくなっています。そのため、従業員のメンタルヘルスやワークライフバランスの重要性がクローズアップされ、ウェルビーイングが注目を浴びることとなりました。

働き方改革

日本では2019年4月より働き方改革関連法案が施工され、多くの企業が労働時間や労働条件の柔軟化、労働とプライベートのバランスの確保、労働者の健康と安全の向上、働き方の多様化などに取り組み始めました。関連法案の文章に「ウェルビーイング」という言葉が入っているわけではありませんが、従業員が肉体的・精神的に疲弊するような状況を予防するよう会社が務めることは、上述の「キャリア・ウェルビーイング」や「フィジカル・ウェルビーイング」の向上に直結するものと言えます。

ブランドイメージと社会的責任

近年、社会的責任(CSR)への関心が高まっています。企業のイメージは、単に利益追求だけでなく、社会や従業員の利益に寄与する姿勢によっても形成されます。ウェルビーイングを重視する企業は、社会的に責任ある組織としてのイメージを築き上げることができます。これによって、顧客や投資家からの信頼を獲得し、企業の持続可能性を高めることができるのです。

SDGs(持続戒能な開発目標)の達成に貢献する姿勢を示す企業が増えていますが、SDGsのゴールの一つにも「すべての人に健康と福祉を(Good health and well-being)」があります。人的資本開示の文脈から、自社がSDGsのどのゴールにコミットしているのかをIR資料等で示すことが一般化してきており、そういう意味でもウェルビーイングの注目度は高いと言えるでしょう。

関連記事:SDGsの達成に向けたGPTW指標活用のすすめ

SDGsアイコン

法律と規制の変化

各国では、従業員のウェルビーイングを保護するための法律や規制が整備されています。例えば、労働時間の制限やメンタルヘルスへのサポート義務などがあります。企業はこれらの法律や規制に適合するだけでなく、積極的にウェルビーイングを推進することで、リスクを回避し、法的トラブルを防ぐことができます。

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「働きがい」は漠然とした言葉であるため、その実態はよく分からないという方も多いのではないでしょうか。 本資料では、働きがいを構成する要素や、その中でも特に働きがいに影響の強い要素、また企業が働きがいを高めることのメリットなどについて、データとともに紹介します。

会社経営におけるウェルビーイング導入のメリット

会社経営にウェルビーイングを導入することで、主に以下の4つのメリットが期待できます。

従業員の健康と幸福感の促進

ウェルビーイング経営は、従業員の健康と幸福感を促進する効果があります。健康プログラムやフィットネス施設の提供、ストレス管理の支援などが従業員の身体的・精神的な健康を向上させます。これにより、従業員はより幸福感を得ることができるでしょう。

パフォーマンスと生産性の向上

ウェルビーイング経営の導入は、従業員のパフォーマンスと生産性の向上に寄与します。アドバンテッジリスクマネジメントの調査によると、従業員のウェルビーイングと生産性には、中程度から大きな相関関係があることが分かっています。

出典:アドバンテッジリスクマネジメント(2022)「ウェルビーイングと仕事のパフォーマンスにおける相関」分析

企業ブランド・採用ブランドの向上

従業員の健康と幸福を重視する企業は、その姿勢自体が企業ブランド向上に繋がるものであり、優秀な人材の獲得や定着において競争力を持つことができるでしょう。また、ウェルビーイング経営は企業の社会的責任に対する取り組みとして認識され、顧客や投資家など各ステークホルダーからの評価を向上させることに繋がります。

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ウェルビーイングと従業員エンゲージメント(働きがい)の関係性

近年、企業経営においては従業員エンゲージメントや働きがい(以下、エンゲージメントと表記)の向上を目指すことが主流になりつつありますが、ウェルビーイングとエンゲージメントにはどのような関係性があるのでしょうか。

エンゲージメントの定義は、「従業員が会社に対して信頼感や愛着、貢献意欲を持てている状態」です。やらされ感で仕事をしている状態ではなく、自発的な貢献意欲に満ちているのがエンゲージメントの高い状態と言えます。

関連記事:エンゲージメントとは?従業員満足度との違いや高める方法

そして、エンゲージメントはウェルビーイングの一側面であると言えます。ウェルビーイングが仕事、私生活、人間関係、身体・精神の健康などさまざまな要素において幸福な状態を指すのに対し、エンゲージメントはあくまで「仕事・職場」に焦点を絞った概念です。

仕事・職場に焦点のあるエンゲージメントを高めるのは分かるが、職場以外で起こる従業員個人のさまざまな問題までケアするウェルビーイングが経営に必要あるのか、と思われる方もいるかもしれません。

しかし、仕事というのはプライベートな事情と切り離せる関係ではなく、むしろ密接に繋がっていることは皆さんの実体験からもお分かりいただけるでしょう。体調が悪ければ仕事に支障をきたしますし、社外の人間関係で嫌なことがあった場合も同様です。

こうした「職場外」の影響因子を無視していては、かえってエンゲージメントを棄損することに繋がりかねません。だからこそウェルビーイング経営を率先して行っている経営者が居ると言えるでしょう。

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ウェルビーイングの取組事例

ヨガプログラムの提供

身体面だけでなく精神面にも良い影響をもたらすとされるヨガプログラムを会社の費用負担で提供します。オンラインクラスでテレワークの社員でも気軽に受講できるようにしている企業もあれば、皆で集まって一緒にやることに価値を見出し、オフィスで定期的に開催する企業もあります。

ヨガをする社員

栄養バランスの良い食事を提供する飲食店との提携

オフィスの近所にある栄養バランスの良い食事を提供する飲食店と提携し、飲食費の一部を会社から補助する制度です。質が良く満足感の高い食事が取れることに加え、ランチ時間を共にすることで社員同士のコミュニケーションに繋がりやすい点もポイントです。

人間ドックの受診無償化

健康診断よりも精密かつ多くの検査項目を調べられる人間ドックの受診費用を100%会社負担とする制度です。

人間ドックの費用は保険適用外であるため数万円はかかるのが一般的です。無償で受けられるとなれば多くの社員が率先して受診し、身体的な不調の早期発見に繋げられることでしょう。

メンタルヘルスクリニックの受診無償化

従業員が精神的な不調を感じた際に、メンタルヘルスクリニックを無償で受診できる制度です。より支援の手厚い例では、従業員の家族の受診まで無償としている企業もあります。

産業医の存在しない小規模企業には貴重な制度であることはもちろん、より自分に適した医師・クリニックを探して選択できるということは大きな安心感に繋がるでしょう。

パルスサーベイの実施

パルスサーベイとは、月1回や週1回といった高頻度で設問数の少ないアンケートを実施し、組織・個人の状況を把握するための調査です。モチベーションの低下や心身の不調を感じている社員の早期発見に繋げることができます。

1on1の実施

1on1とは、上司が部下と週1回~月1回などの頻度で定期的に面談を行うことです。多くの企業で導入されていますが、この1on1もある意味従業員のウェルビーイングを最大化するために有効な施策と言えます。目標の達成度合いの進捗を測る評価面談とは違い、1on1は相互理解を深め信頼関係を築くための場です。上司は部下のプライベートな悩みにも耳を傾け、広い意味で部下が「良い人生」を送るためのサポートをしてあげると良いでしょう。

以下の記事では効果的な1on1の進め方も紹介していますので、是非ご覧ください。

関連記事:1on1ミーティングとは?目的や進め方、話すことのテーマを紹介

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「働きがい認定」として認められた企業が実際に取り組んでいる施策から学んでみませんか?この資料では、働きがいを高めるうえで企業が直面しやすい5つの組織課題とそれらの課題に対する具体的な施策事例について紹介します。

企業にも導入メリットの多いウェルビーイング

ウェルビーイングは、長時間労働をさせない、パワハラを是正するといった必要最低限のケアだけでなく、より積極的に従業員の幸福を追求していく考え方です。従業員のウェルビーイングが高まることで、企業にとっては人材確保や生産性の向上、従業員にとってはエンゲージメントや働きがいの向上など、さまざまな面でメリットを享受できます。

またGreat Place To Work®では、従業員のウェルビーイングを高める第一歩として、従業員意識調査の提供を行っています。まずは従業員の声を聞き、自組織に合ったウェルビーイング施策を行っていきましょう。

(ライター:横山リホ(ペンネーム)、編集:GPTW)

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